ある時期、ゴルフ練習場のすぐ横にあるアパートに住んでいたことがある。
夜寝る前に何気に窓の外を眺めていると「泥棒ーぉ!泥棒ーぉ!!」と大きな声が聞こえてきた。
何だと思いながら、どこから聞こえるんだろうと辺りを見回した。
真っ暗な中、横のゴルフ練習場のネット越しに二人の人影が見えた。
1人の影は逃げているように見えた。
もう一人の影は逃げてる影を追いかけているように見えた。
その様子から、すぐにゴルフ練習場で泥棒に入られて、それを関係者が追いかけているのだとわかった。
それを見た私は、戸惑いながらも110番をして警察にその様子を伝えた。
110番するのは初めてだった。
「今、私が住んでいるところの前で泥棒という大きな声が聞こえて、どうやら泥棒を追いかけているのが見えてるです。すぐに行ってあげてください。」
「あなたは今どこにいますか?」
「今、自宅のアパートにいてその窓から見えるんです。」
「はいわかりました。では今いるところの住所とお名前を教えてください。」
……住所と名前を伝える……
「私のアパートの前にゴルフ場練習場があるのですがその中で追いかけているのが見えました。」
「あなたが住んでいるアパートの前にゴルフ練習場があって、その中から声が聞こえて、人が追いかけているのが見えたということですね。」
「はいそうです。」
「わかりました。すぐに警察官を向かわせます。」
「よろしくお願いします。」
その後、様子が気になり少しの間窓から見ていたが特に大きな騒ぎになっているようなことがなかった。
この時、少し不安な気持ちになった。
~ 私が警察に電話したことを逆恨みされたりしないだろうか ~
ひとまずその夜は寝ることにした。
その数日後、玄関のベルが鳴った。
めったに家を訪ねる人はいなかったので誰が来たのかと思った。
ドアを開けると警察官が二人いた。
なんだろうと思って少し緊張した。
「先日、隣のゴルフ練習場に泥棒が入ったのですが、通報してくださったのはあなたですか?」と聞かれた。
「あっ、はい、私です。」
「そうでしたかぁ。おかげで無事に犯人を逮捕できました。ゴルフ場のオーナーもすぐに警察が来てくれたので助かったと喜んでいました。本当にこの度のご協力に感謝いたします。これは協力してくれたお礼と言ってはなんですが、どうぞお受け取りください。」
そう言って手渡されたのは、パトカーがデザインされたメダルだった。
「いえ、私はただ電話しただけで大したことしてません。」
「なかなか電話もできないもんです。本当に助かりました。ありがとうございました。」
そう言って警察官は帰って行った。
こんなんで役に立ったのならよかったと思った。
でもやっぱり心配~逆恨みされないだろうか~。
それからさらに一週間ぐらい経ってからだろうか。
また珍しくドアのベルが鳴った。
今度は私服の警察官が二人立っていた。
「先日は警察へのご協力ありがとうございました。」と改めて挨拶に来たのだが、ちょっと前とは様子が違った。
いろいろと私のプライベートのことや日々の生活のことも聞かれた。
一体なんだろうと思った。
少しの時間、私のことを聞かれ、そのあと納得したかのように質問が終わった。
そして次のように警察官は言った。
「いやー本当に助かりました。実は先日捕まった泥棒はとても多くの事件を起こしていて大変重要な犯人だったんです。」
そう言って、これはお礼ですと言って前にも見たような箱が手渡された。
二人の私服警察官が帰ったあと箱の中身を確認すると、やはり前にも頂いたパトカーデザインのメダルだった。
正直、なんで2回も来たんだろうと考えてしまうが、単純に2回目はこの泥棒事件と私の関係性を調査することが目的だったのだろうと思った。
ちょっと疑われたようでいい気持ちはしなかった。
そして、ますます犯人のグループから逆恨みされないかと不安も深まった。
《たま手箱の心感覚》
やはり警察への協力って勇気がいるんだなぁーと感じる。
出来れば悪いことに関わりたくないという気持ち と 悪いことがあると知った以上なんとかしなきゃという正義感の格闘。。。
警察との関りが初めての場合はますます心の格闘が大きいとわかる。
不安を軽減するためには、対象をよく知り心を整え万が一の対応も考えておく必要があるのだと思う。
それでも不安を拭えない部分は考え過ぎず楽観的に思うようにしよう。
私の思う不安への対処法
・あるがままを委ねてみる。
・対象を把握して克服できるよう対処する。
・状況を観察しながら楽観的にとらえ時を待つ。
・手におえない時は避けて距離をおく。
まぁ犯人も捕まり被害も少なくすんだのだから結果オーライ良しとしよう